農業改革 2013 3 24

 経営改革を考える時に、
マーケティング(市場調査)や販売促進は重要ですが、
忘れがちなのが、コストです。
 昔、国鉄(日本国有鉄道)の時代には、
100円の運賃収入を得るのに、
たとえば、ある路線では、
150円もコストがかかっていると言われました。
 さて、2009年10月6日の日本経済新聞には、
このような記事があったことを思い出しました。
 ある農家では、農業収入が600万円で、
運転資金も同じ600万円かかる。
 負担が最も重いのが、農機だ。
トラクターに450万円、コンバインは600万円。
購入しても、耐用年数は10年に及ばない。
修理代も1回で10万円は必要。
 コンバインは、年間で使うのは、
稲刈り時期の数日間だけ。
「数百万円も投資するのは、
どう考えても、おかしい」と、あるコメ専業農家は言う。
 いくら戸別所得補償制度を作っても、
生産費が高止まりのままでは、経営は改善しない。
高価な農機は、その象徴。
 農機、肥料、農薬という、
農業に必要な資材販売を一手に引き受けてきたのが農協。
農協による販売シェアは肥料が90%、
農薬では68%と圧倒しており、
競争による価格の低下が起こりにくい。
農業が儲からない一因だ。
(引用、以上)
 これを優秀な経営者が見たら、どう思うでしょうか。
「これでは、儲からなくて当たり前。
国鉄と同じようなことをやっている」と言うでしょう。
 コスト無視の「日本の農業」。
いったい、農業で、何がやりたいのか、わかりませんが、
これだけは言えると思います。
江戸時代と同じように、農民は生かさず殺さず。
 農業で、経営(経営改革)をやってはいけないのか。
農家は、経営者になってはいけないのか。

TPP活用法 2013 2 24

書名 TPPで日本は世界一の農業大国になる
著者 浅川 芳裕  KKベストセラーズ

「攻撃は最大の防御である」
 日本の農業は、いつもいつも、
「守る」という言葉ばかり聞こえますが、
21世においては、発想の転換が必要です。
 あまり知られていませんが、
日本の農業技術は、極めて高いと言えるでしょう。
 日本は、工業力の高さで、
自動車は、世界一となりました。
 今度は、農業技術の高さで、
日本は、世界一の農業大国を目指すべきです。
 この本から引用すると、
「TPPは農家にとって、家業の外部要因のひとつにすぎない。
関税は、いずれ下がることを見越し、経営体質を強化してきた。
 設備や機械に長期投資を行い、
個々の品目で技術革新を図ってきた。
 売り先を多様化し、スタッフを育成しながら、
財務改善をしてきた」とあります。
 正に、そのとおりです。
私の実家は、農業で、父は、常に最先端の農業を目指していました。
さらに、販売方法も経営方法も、あらゆる手法に取り組んでいました。
父は、経営者としても、農業の技術者としても、成功者と言えるでしょう。
 私は、父から、よく聞かれたことがあります。
「国や県に、農業改良普及員という人がいるが、
あれは、何のためにあるのか」という質問です。
 さらに、父は、「農業は、規制が多く、
大成功することができない」と不満を漏らしていました。
父の成功は、子供全員を東京の大学へ送り出す程度の「成功」に終わってしまったのです。
 もし、農業に規制がなかったら、
父は、農業という分野で、大成功したでしょう。
 政府の基本方針は、農民は、「生かさず、殺さず」か。
これでは、江戸時代と変わりありません。
 さて、TPPで話題になるのは、コメ(rice)でしょうか。
この本では、コメの種類について、図解があります。
TPP9カ国のコメ輸出量に占める「長粒種、中・短粒種」という図です。
 この図によると、長粒種は、なんと91%を占め、
中・短粒種は、わずかに9%となっています。
日本人が、好んで食べているのは、短粒種です。
 私は、コメの関税は、ゼロにしてよいと思っています。
日本人が、突然、モチモチ感のないコメ(長粒種)を好きになることはないでしょう。
 この本によると、
アメリカのコメ生産量1000万トンのうち、
日本人が好んで食べるコメ(短粒種)は、30万トンにすぎないとあります。
 もちろん、関税ゼロになれば、
アメリカが、短粒種の生産を拡大する可能性がありますが、
それは、従来の顧客を捨てて、短粒種を生産することになります。
 アメリカのコメを当てにしている国が多いので、
これは、外交問題に発展するでしょう。
日本と違って、外国では、食糧問題は暴動に結びつきやすいからです。
 ところで、日本の農家が、TPPの主流である長粒種を作る発想も必要でしょう。
短粒種の生産で培ってきた農業技術を応用して、
日本の農家も、長粒種を作るべきでしょう。
 自動車の輸出の次は、農産物の輸出でしょう。
日本の農業には、「攻撃は最大の防御である」という発想が必要です。


































































スマートフォンのトップページへ